初めての方へ

はじめに


尊厳死と言う言葉を耳にしたことがあるでしょうか?


日本救急医学会2016年11月の論文において「80歳以上の高齢者が救急搬送された場合、8割の方に人工呼吸器が装着される」とあります。


誰も未来永劫生きながらえることは不可能です。

ならば今ここでご自身の人生における最期の迎え方について少し考えませんか?

いかがですか?

人にはあらゆる手段を使って少しでも生き永らえたいと望む方がおられます。

また一方で、人工呼吸器等の生命維持装置を使ってまで生き永らえたいとは望まない方もおられます。

当会は人工呼吸器等の生命維持装置を使ってまで生き永らえたくないとお考えの方々を支援いたします。


尊厳死とは?


尊厳死とは「人間としての尊厳」を保ちながら死を迎える事をいい、具体的には病気や事故などにより回復の見込みがなく末期に至った患者に対して、ただ延命を図るだけの過剰な延命措置をせず、安らかに人生を終えることです。



リビングウィル


リビングウィルは英語では「Living Will」と表記されますが生きてる意思つまり生前の意思と直訳することができます。

一般的には自身の人間性を尊重し回復の見込みない延命治療の打ち切りを希望する尊厳死を意思表示することを指します。

また、その意思を記録した書類を指すこともあります。

当会では、その意思を表明するための書類を簡単に作成していただけるツールとして「安らぎ」という簡易作成キットを準備しています。

このような尊厳死を意思表示するための書類を一般的には尊厳死宣言書(リビングウィル:以降リビングウィルと表記)といいます。



リビングウィルの必要性


現在、日本には尊厳死に関する法律がありません。

そのため宣言書を準備しても必ず尊厳死の希望が叶うとは限りません。

しかし宣言書がなければ、いざその場面を迎えた時にたとえ尊厳死を希望したくても末期の状態では口頭で意思を伝えることは難しく、ほとんどの場合希望を叶えることはできません。

だからこそ、あらかじめ本人の意志を書面として表明しておく事が重要になってきます。

日本尊厳死協会の調査によれば、末期を迎えた患者(ご家族)からリビングウィルを提示された場合、95%以上の医療関係者が本人の希望を受け入れたという調査結果もありますので、事前にリビングウィルを用意しておくことで、尊厳死の希望を叶える可能性はかなり高まると考えられます。

つまり自身の人生の最期に「人間としての尊厳」を保ちながら死を迎えたいと望むならあらかじめリビングウィルを用意しておく必要性が高まっているのです。



家族への思いやり


入院中に体力の低下に伴い延命装置を装着するか否かの決断を家族に強いる場合があります。

その決断には非常な困難や苦しみを伴うでしょうし決断後も不安や後悔を持ち続けてしまうことにつながらないでしょうか?

しかし、あらかじめ本人が延命治療を望まないとという明確な意思を表示しておけば家族の決断を後押しすることができ、また決断後も「本人の意思を尊重し希望を叶えてあげることができたんだ」という納得につながり家族の安心感につなげることができるのではないでしょうか。


また家族の重篤な急病や不慮の事故により救急搬送された場合、生命維持装置を装着することにより生命の維持が期待されるのならば多くの場合延命措置がとられることとなります。

近年の医療技術の進歩により、患者が植物状態になったとしても延命治療により長年生き続けるという事例も多くなってきました。

このような状況下で全く回復の見込みが望めないと判明したからといって一旦開始した延命治療を中止し生命維持装置を取り外すことは法律上できません。

しかし、あらかじめ本人が延命治療を望まないとという明確な意思を表示しておけば一旦開始した延命治療を中止し生命維持装置を取り外すことが可能となります。



尊厳死宣言書(リビングウィル)の普及とその意義


現在の医学は、少しでも長く生きることができるように、且つ生きている限り治療するという考えのもと発展してきたのはないでしょうか。

ただ近年は患者やその家族だけでなく一般の方々にも、行き過ぎた延命治療に疑問を持ち人間としての尊厳を保ちつつ自然な死を迎える尊厳死を求める声が高まりつつあります。

しかし、それを実現するための具体的な手続きや方法は、まだまだ知られていないのが実情です。

このための一番効果的な方法が尊厳死宣言書(リビングウィル)をあらかじめ準備しておくことであることに疑問の余地はありません。


このような状況で「尊厳死宣言書を普及する会」は、尊厳死宣言書(リビングウィル)を普及していく活動を通じて人間が人間として人間らしく、安らかに人生を終えることができる尊厳死が広く認められる社会づくりを促進させることを目的として発足しました。

今後も尊厳死を求める方々の希望に応えることができる社会づくりのための普及活動を続けてまいります。